November 27, 2019
ALFP eマガジン 第5号 Gender Issues
バックナンバー概要
ゲストエディター:Urvashi Butalia(Zubaan発行者 / 2000年度ALFPフェロー)
2000年12月、日本およびアジアの女性団体が一堂に会し、「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷(Women’s International War Crimes Tribunal on Japan’s Military Sexual Slavery)」が開催された。重要な一歩となったこの「法廷」により、これまで黙殺されてきた問題に国際社会の注目が集まった。被害者の辛く悲痛な体験を語ること——これは女性運動では古くから有効とされている手段であるが、この手段により、軍隊による性暴力という問題の普遍性だけでなく、異なる文脈におけるこの問題の文化的・社会的特異性が浮き彫りにされた。犠牲者の体験をアジアの女性の間で共有し続けることは、彼女たちの悲しみを癒し、社会に対する活動の強化を促すだけでなく、平和への共通の決意を生み出しているのだ。
これまで、スリランカやインド・マニプール州の母親、インドネシアの環境活動家、人身取引に反対するタイの活動家、労働者の権利を守るマレーシアの活動家にせよ、アジアの女性は、急速に変化する地域において、多くの重要な議論の中心となってきた。にもかかわらず、彼女たちの歩みは未だ世に知られず、彼女たちの貢献も然るべき評価がなされていない。アジアの女性たちは、自らの歩みを述べることで、一部の、つまり男性の考え方を、世界共通の考え方として標準化することの危険性を指摘し、それとは異なる包摂的(インクルーシブ)で多様性ある未来を築こうと提案してきた。それは、ジェンダーやセクシュアリティが男女二元論で語られている今日に代わり、平和な未来に向けて活動するさまざまなアイデンティティを持った人々の団結が可能な未来である。