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August 30, 2018
ALFP eマガジン 第2号 Climate Change
バックナンバー概要
ゲストエディター:Marco Kusumawijaya(都市研究ルジャックセンター・ディレクター / 2009年度ALFPフェロー)
アジアは気候変動に最も影響を与える地域になりつつあるといえる。要因は2つある。膨大な人口と、安定的な経済成長である。アジアの国々の多くは、ほぼ恒常的に米国や西ヨーロッパ、日本の倍、あるいはそれ以上の成長率を誇っている。何億人もの中間層が意欲的な消費者として出現しているが、その代償は急激な資源の枯渇と環境へのダメージである。また、アジアは気候変動の影響を最も受ける地域でもある。例えば、海面上昇に対して最も脆弱な沿岸地域の人口は、2025年までに3億人余り増加して16億に達すると予想されている。多くの疑問が投げかけられているが、その答えは暫定的でしかない。アジアの多様性を考えたとき、気候変動の具体的な規模とメカニズムという点ではどのようなことが起きるのか。環境の育成と保全、二酸化炭素排出量の削減、持続可能な経済発展を同時に達成するために、どういった「アジア的な戦略」が立てられているのか、あるいは立てることができるのか。その戦略によって、どのような社会的・政治的影響や反応がもたらされるのか。アジア各国で事情が異なるデモクラシーは、それらとどのような関係があるのか。国家やコミュニティは、損失や災害にどう備えることができるのか。特定の国や地域にその例となるものがあるのか。本号では、こうしたテーマについて考えたい。